「野生どうぶつ友の会」とは

 当財団は、1988年より野生動物の保護活動を開始し、傷病野生鳥獣保護施設の指定のもと、中部は倉吉動物医療センター・山根動物病院、西部は米子動物医療センターの協力を得て傷病野生鳥獣救護にあたっています。
 近年、人間活動が野生動物の領域にまで広がる一方で、里山の崩壊や気候変動、在来種の増加、外来種問題など、人と野生動物において様々な問題が生じています。
 野生どうぶつ友の会は、絶滅危惧種などのこれら傷病野生動物を再び野生に戻す活動を通じて、市民の皆様のご理解とご協力を得るとともに、命の大切さや動物愛護思想の普及を図っております。
 長年の我々の活動が評価され、1997年環境長官感謝状、2002年鳥取県知事表彰、2003年環境大臣表彰を受賞しました。

主な活動内容

  • 傷病野生動物の救護活動
  • 生物多様性保全のための探査・研究
  • 講演・講習会の開催
  • 行政・他機関との連携など

野生動物の治療

 鳥取県もしくは市民の方から、疾病野生動物が当財団に治療目的で搬入されてきます。搬入される動物たちの多くは重症、もしくは羽を失うなど野生復帰が不可能な個体も多くいます。そのような中、手術などの治療を終え元気になって野生復帰できる動物たちは約4割です。非常に厳しい現実ですが、それでも我々は野生動物たちを助けています。
 なお、これら野生動物の救護活動も法律に則り行っていますので、保護対象でない野生動物に関しては、残念ながら治療をすることができません。

保護されてくる動物たち

 搬入されてくる動物達は、外傷、感染症、衰弱と病態は様々です。搬入件数の多くを占めるのは、ツバメ、スズメ、キジバト、タヌキなど生息域が人間居住区に近い動物達ですが、以下のような絶滅危惧種および準絶滅危惧種も保護されてきます。
絶滅危惧種: ブッポウソウ、ハヤブサ、コノハズク、コアジサシなど
準絶滅危惧種: オオタカ、チュウサギ、ハイタカ、ミサゴ、ヨタカなど

市民公開セミナー

 当財団が開催する動物臨床医学会では、毎年野生動物に関する講演や市民公開シンポジウムなどを開催しています。

過去の講演の一覧

■第30回 2009.11.21

 市民公開野生動物フォーラム

 大きく変化している身近な生体系―大阪府における現状―
  講師:石原 委可(大阪府環境農林水産部動物愛護畜産課野生動物グループ)
 鳥獣の保全と傷病野鳥に対する市民の反応
 ―大阪府における野生鳥獣救護の現状―
  講師:中津 賞 (中津動物病院)

■第31回 2010.11.20

市民公開野生動物フォーラム

 獣医師は野生動物保全になにをすべきか
-原因究明、対策、社会への啓発と納得-
  講師:齊藤 慶輔(猛禽類医学研究所)

■第32回 2011.11.19

市民公開野生動物フォーラム

 野生鳥獣の保全医学 -感染症(高病原性鳥インフルエンザなど)-
  講師:村田 浩一(日本大学生物資源科学部動物資源科学科野生動物学研究室)

■第33回 2012.11.18

市民公開野特別講演

「命の森」森からみる未来
 講師:c.w.ニコル(作家、環境保護活動家、探検家)

■第34回 2013.11.17

市民公開シンポジウム

(平成25年度科学研究費補助金(研究成果公開促進費)「研究成果公開発表(B)」)
 最近、国内外で問題となっている動物由来感染症(人獣共通感染症)を理解するために

  1. 現状の国内外における動物由来感染症の発生状況について
      講師:水谷 哲也(東京農工大学)
  2. ウエストナイル熱の発生状況、病態と予防
      講師:倉根 一郎(国立感染症研究所)
  3. 日本紅斑熱の発生状況とダニ媒介性疾患の感染予防について
      講師:馬原 文彦(馬原アカリ医学研究所)

市民公開野生動物フォーラム

 南極昭和基地―オーロラからペンギンまで―
  講師:岩波俊介(苫小牧工業高等専門学校)

■第35回 2014.11.16

 アジア内陸発生黄砂の発生のメカニズム、輸送経路と日本への影響
-ハタネズミとマーモットが創る草原-
 講師:星野 仏方(酪農学園大学 農食環境学群環境共生学類環境リモートセンシング研究室)

■第36回 2015.11.22

野生鳥獣分科会アドバンスセミナー

離島、舳倉島における旅鳥保護に対する野良猫対策
   講師:矢田 新平(矢田獣医科病院)

■第37回 2016.11.20

野生鳥獣分科会アドバンスセミナー

小笠原諸島における人とネコと野生動物の共存プロジェクト
  講師:堀越 和夫(NPO法人小笠原自然文化研究所)

■第38回 2017.11.19

市民公開特別講演

滝川クリステル(一般財団法人 クリステル・ヴィ・アンサンブル)+齊藤慶輔(猛禽類医学研究所)トークショー「共に、生きる。~犬猫と、野生動物と~」

市民公開シンポジウム

里山崩壊による野生動物の行動範囲の拡大と動物由来感染症の発生について―特にマダニと野生動物―

  1. 里親崩壊とそれに伴う野生獣の農産物被害の実情
       講師:江口 祐輔(国立研究開発法人 農研機構 西日本農業研究センター)
  2. 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の動物における全国的抗体保有率と感染予防
       講師:前田 健(山口大学)
  3. 現状の国内外における重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の発生状況と今後の対応 ―現状の発生状況を理解し、その対応を協議―
       講師:水谷 哲也(東京農工大学)

■第39回 2018.11.18

アマミノクロウサギたちに迫る危機 ~外来種としてのネコ問題~
  講師:伊藤 圭子(ゆいの島どうぶつ病院)

■第40回 2019.11.17 開催予定

沖縄の絶滅危惧種を守る獣医学”種の保全から外来種対策まで”
   講師:長嶺 隆(ながみねどうぶつクリニック)